こんな症状は不整脈かもしれません
動悸がする、脈がとぶ、息切れやめまい、胸が苦しくなる、気を失うという症状がある場合は、不整脈の可能性があります。また、不整脈には脈が速い場合と遅い場合があります。安静にした状態で脈拍を測定したときに、1分間の脈拍数が50回以下、あるいは1分間に100回以上という場合にも不整脈の可能性があります。
不整脈とは
不正脈とは脈拍の打ち方のリズムが正常と異なることを指し、大きく3つに分類されます。
- 脈拍リズムが乱れるもの(期外収縮)
- 脈が遅くなるもの(徐脈)
- 脈が速くなるもの(頻脈)
脈拍のリズムが乱れる不整脈
心房性期外収縮や心室性期外収縮
脈が遅くなる不整脈
洞不全症候群や房室ブロック
脈が速くなる不整脈
心室性頻拍、心室細動、心房頻拍、心房細動、発作性上室性頻拍、WPW症候群
心臓は、全体が筋肉でできています。心臓には、規則正しい間隔で電気信号をつくりだす洞結節(どうけっせつ:発電所のような働きをする)と、電気信号を受け止める房室結節(ぼうしつけっせつ:変電所のような働きをする)があり、さらに伝導路(でんどうろ:電気信号が伝わる経路)を通って心臓の筋肉に電気信号が届きます。この電気信号により心臓の筋肉が収縮して、心臓の中に溜まっている血液を血管へと送り出します。 しかし、電気信号が発生する仕組みや伝わる経路に何らかの異常があると、不整脈が起こります。
不整脈の原因
不整脈は、病気によるものと生理的なものがあります。例えば、運動をしたり精神的に興奮したりすることで起こる頻脈や、30歳を超えると増えてくる「期外収縮」は生理的な不整脈です。
一方の病気による不整脈は、病気が原因で心臓が規則正しく動かなくなってしまう状態です。例えば、心臓の血液を血管へと送り出す「ポンプ機能」を担う心室が、心筋梗塞など心臓の病気によって働きが障害された場合、不整脈となります。心不全や先天性の心疾患がある場合や、心臓の手術後など心臓そのものに異常がある場合なども不整脈が起こります。また、心臓そのものに異常がなくても、高血圧や糖尿病などの生活習慣病によって病的な不整脈が起こることもあります。
不整脈の統計
不整脈の患者数は、およそ46,000人といわれています(厚生労働省 平成29年患者調査)。この人数には、不整脈による心停止を起こした方の人数も含まれています。
不整脈の検査と治療
不整脈の検査
不整脈の検査には、心電図検査、胸部X線、血液検査、ホルター心電図、運動負荷心電図、心臓超音波検査などがあります。特に心電図検査は、不整脈の診断には必須の検査です。心電図検査を行って不整脈の状態を確認しながら、心臓超音波検査や胸部X線で心臓そのものに障害が起こっていないかを調べます。
不整脈の治療
不整脈の治療法は大きく4つあり、病状にあった治療を行います。
薬物療法
不整脈の停止、不整脈の予防、不整脈の頻度を減らす、不整脈の症状を軽減などの目的で行われる治療です。
カテーテル心筋焼灼術
カテーテルアブレーションとも言います。血管から心臓の中にカテーテルと言われる細い管を通し、先端から高周波を流して心臓の筋肉の一部に軽いやけどを負わせることで不整脈を治療します。
ペースメーカー
心臓の外から電気刺激を与えることで心臓の電気信号の働きを補う治療法です。洞不全症候群と電気信号の伝わりが悪くなる伝導障害が対象です。
植え込み型除細動器
致命的な不整脈が起きても、それを自動的に感知して心臓を動かすように働く装置を植え込む治療法です。心室頻拍や心室細動といった命に関わる重症な不整脈を経験した方や、それを引き起こす可能性が高いと予測される方が対象となります。