こんな症状はバセドウ病かもしれません
動悸、体重減少、指の震え、暑がり、汗かき、疲れやすい、軟便・下痢、筋力低下、精神的なイライラ、気持ちに落ち着きがないなどの症状がみられる場合、バセドウ病の可能性があります。甲状腺の腫れや、目が完全に閉じないほど目が飛び出るようになってきた方も同様です。女性では月経が停止する、特に男性では炭水化物の多い食事をした後や運動の後で手足が突然動かなくなる発作(周期性四肢麻痺といいます)を起こすこともあります。子供の場合は学力低下、身長促進、落ち着きの無さなどが見られることがあります。
バセドウ病とは
バセドウ病とは甲状腺機能亢進症の1つです。甲状腺の活動が異常なほど活発になることによって甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、代謝が活発になることでさまざまな症状をきたす病気です。 また、バセドウ病は自己免疫疾患の1つです。自己免疫疾患とは、本来、細菌やウイルスが体内に侵入してきた際に、攻撃をして身体を守る免疫機能が異常になることで、自分自身の細胞や臓器を攻撃してしまう病気です。
バセドウ病の原因
甲状腺ホルモンは、脳の下垂体から甲状腺刺激ホルモン(TSH)が分泌され、甲状腺にあるTSH受容体を刺激することによって分泌されています。バセドウ病の場合、このTSH受容体に対する抗体が体内で作られ、TSH受容体を刺激し続けてしまうため、甲状腺ホルモンが過剰に産生・分泌されてしまいます。自己抗体が作られる原因は不明ですが、何らかのウイルス感染や強いストレスや妊娠・出産などが原因と考えられております。また、バセドウ病になりやすい体質は遺伝するので、親、兄弟、祖父母がバセドウ病の方は、一般の人に比べてバセドウ病になりやすいと言われています。
バセドウ病の統計
バセドウ病の患者数は人口1,000人あたり0.2~3.2人と報告されています。特に20~30代の若い女性に多く、女性の患者数は男性の3~5倍ほどです。
橋本病
バセドウ病と似ている甲状腺の病気に橋本病があります。橋本病は慢性甲状腺炎と言い、甲状腺に炎症が起こる病気です。甲状腺ホルモンの値が低下している時は甲状腺機能低下症とよばれ、無気力、疲れやすい、全身のむくみ、体重の増加、便秘、寒がりになるなどの症状が見られます。
しかし橋本病の場合、一時的に甲状腺ホルモンの値が高くなることがあり、このときはバセドウ病と同じような症状がみられます。甲状腺ホルモンの値が継続して高いか、一時的に高いかが橋本病とバセドウ病の違いになります。橋本病の場合、通常は3ヶ月ほどで甲状腺ホルモンの値の上昇は収まります。
バセドウ病の検査と治療
バセドウ病の検査
バセドウ病の検査は、甲状腺ホルモンの値を調べる血液検査、エコー検査、尿検査などがあります。バセドウ病は症状が特徴的なため、検査の値と症状を併せてバセドウ病にかかっているかを判断します。
バセドウ病の治療
バセドウ病の治療は大きく分けて3つあります。
薬物療法 | 抗甲状腺薬を服用します。すぐに行える治療のため、現在は第一選択(最初に行う治療)となります。ただし、副作用が出ることもあり、治療効果には個人差があります。再発する可能性もあります。 |
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放射性ヨウ素内用療法 | 放射性ヨウ素のひとつであるヨウ素-131というアイソト-プの入ったカプセルを飲んで治療を行います。甲状腺に集まった放射性ヨウ素が放射線を発することで、甲状腺ホルモンをつくる細胞を徐々に破壊していった結果、甲状腺の働きを正常にしていきます。安全で効果も確実ですが、子どもや妊娠中の女性、授乳中の女性には行えません。 |
甲状腺摘出術 | 外科手術で甲状腺を摘出します。甲状腺の全てを摘出してしまうとホルモンが分泌できなくなるため、甲状腺ホルモンの薬を内服する必要があります。また、手術による合併症が起こるリスクもあります。 |