健康診断で精密検査及び経過観察が必要になった方へ

健診結果は健康管理に役立ちます

健診結果は健康管理に役立ちます健康診断は、病気の早期発見や予防に役立つ有効な健康管理ツールです。健診結果は検査項目ごとに、異常なし・要経過観察・要精密検査に分けられます。こうした結果を理解してお体の状態をしっかり把握することは、健康管理の基本になります。
未来のQOL(生活の質)を守るためにも、健診の結果を役立てましょう。

診断結果の見方について

異常なし

異常なし正常の範囲内であり、機能的な問題がない状態です。

要経過観察・要再検査

正常範囲を超えており、一定期間をあけて経過を観察、または再検査を行う必要があるという状態です。
すぐに治療が必要というわけではなく、生活習慣病の場合は食事や運動、飲酒・喫煙などの生活習慣を見直すことで進行予防や改善が可能な状態です。
当院ではできるだけストレスを抑えた生活習慣改善の具体的なアドバイスを行っています。

要精密検査

健康診断で行う検査では、確定診断できない病気が疑われている状態で、病気の有無を調べるためには精密検査が必要です。あくまでも疑われるという段階ですから、精密検査の結果、異常がないということもあります。
深刻になる必要はありませんが、重大な病気の早期発見に繋がる可能性がありますので、出来るだけ早く精密検査を受けてください。
当院ではCTや超音波検査機器などによる精密検査を行なっています。他院へご紹介をし、より詳しい検査をして頂けます。

要治療

病気が発見され、すぐに治療が必要な状態です。出来るだけ早く受診して、適切な治療を受けてください。

各検査結果の見方

健康診断では様々な病気のリスクが分かります。各検査項目について、正常範囲を超えた場合に、どういった病気のリスクが上昇するのかを下記でご説明しています。

血圧

血圧血圧は心臓から送り出される血液によってかかる血管壁への圧力を数値化したもので、心臓が収縮した際の最高血圧と、心臓が拡張した際の最低血圧という2種類の数値があります。
最高血圧と最低血圧のどちらか、あるいは両方が正常範囲を超えた状態が続いていると高血圧と診断されます。
高血圧が続くと血管に大きな負担がかかり続けるため、動脈硬化を進行させて、脳血管障害や心筋梗塞など深刻な疾患のリスクが上昇してしまいます。
血圧は運動や食事、緊張などでも大きく変化し、診察室では家庭で計測するより高めの血圧が出やすい傾向があります。
ご自宅に血圧計がある場合には普段から継続的に血圧を計測して記録し、それを持って健診を受けていただくと、より正確な結果がわかります。

メタボリックシンドローム

メタボリックシンドロームは、血糖、血圧、脂質の数値と腹囲から総合的に診断されます。
内臓脂肪型肥満の場合、高血圧・糖尿病・脂質異常症といった生活習慣病を発症しやすく、軽度の生活習慣病でも複数あると動脈硬化の進行が早まってしまうことがわかっています。
そのため、メタボリックシンドロームは自覚症状に乏しいまま心筋梗塞や脳血管障害(脳梗塞・脳出血など)を起こすリスクが高い危険な状態とされています。
メタボリックシンドロームは、「基準該当」「予備群該当」「非該当」「判定不能」に分けられ、「基準該当」「予備群該当」の場合には、できるだけ早く適切な治療と生活習慣改善が必要です。

血中脂質

血液中のトリグリセライド(中性脂肪)、悪玉コレステロール(LDL)、善玉コレステロール(HDL)の量を調べて脂質異常症(高脂血症)の有無を確かめ、動脈硬化リスクを判定します。
トリグリセライド(中性脂肪)、悪玉コレステロール(LDL)が過剰な高脂血症は、動脈硬化を進行させます。
また、善玉コレステロール(HDL)は血液中の余分な脂質を回収する働きを持っているため、基準値よりも少ないと動脈硬化リスクが上昇します。
脂質異常症は自覚症状がないまま進行するため、健康診断による早期発見が特に重要です。

血糖値

血液中のブドウ糖の量を調べて、糖尿病のリスクを判断します。
糖尿病は血液中のブドウ糖が過剰な血糖値が高い状態が続くことで血管に負担がかかり続け、動脈硬化を進行させて脳出血、脳梗塞、心筋梗塞を発症するリスクを上昇させます。
また、高血糖は全身の毛細血管にも大きな負担をかけ、失明や足指の壊死、腎機能障害などにつながる合併症を起こすこともあります。
早期には自覚症状に乏しいため、健康診断は早期発見に有効です。

尿酸値

尿酸値が高いと痛風を起こすだけでなく、血管や腎臓にも負担をかけて様々な疾患の原因になってしまいます。
尿酸値が高めの場合には、プリン体を多く含むレバーや尿酸値を上げてしまうアルコールなどの摂取を控え、適度な運動や十分な水分摂取を心がけるなどの健康管理が特に重要です。
なお、激しい運動は痛風発作を起こすきっかけになりますので注意が必要です。

肝機能

AST(GOT)、ALT(GTP)の数値によって肝疾患を、γ-GP (γ-GTP)の数値によって肝障害や肝炎などの有無を調べます。
肝臓は病気になっても悪化するまで自覚症状に乏しいため、健康診断は早期発見に有効です。
また、肝機能障害が進行すると肝臓への血流が滞り、行き場を失った血液が胃や食道周辺の血管に流れ込んで静脈瘤を生じさせる可能性があります。
静脈瘤が破裂すると命にも関わります。健診結果で肝機能障害を指摘されたら、速やかに受診してください。

貧血

採血を行って、赤血球の数、血色素量、ヘマトクリット(血液中の赤血球の容積をパーセントで表示させたもの)などから貧血の有無を判断します。
貧血は女性に多い鉄分不足のイメージがありますが、胃腸などの消化管のどこかから出血していて貧血を起こしていることも少なくありません。
消化管からの出血で貧血を起こしている場合、消化管に孔が開く穿孔を起こして命に関わる場合もありますので、できるだけ早く受診してください。
消化管出血が疑われる場合には、内視鏡検査が必要になります。なお、内視鏡検査中に出血箇所を発見した場合、その場で止血処置が可能です。

尿検査

採尿して、赤血球を調べます。
正常値を超えた場合には、尿路感染症、尿路結石、腎機能障害、腎炎、糖尿病、腫瘍などが疑われますので、速やかに精密検査を受ける必要があります。
ただし、尿は食事による影響を大きく受けやすいため、健康診断で異常が指摘された場合も精密検査では異常なしになることも珍しくありません。
深刻になる必要はありませんが、できるだけ早く精密検査を受けてください。

心電図

心臓病(不整脈・狭心症・心筋梗塞・心肥大など)の徴候の有無を調べる検査です。
問診や聴診などの診察結果も合わせて総合的に判断されます。
心電図の結果で要経過観察・要再検査を指摘された場合もできるだけ早く循環器専門医の診察を受ける必要があります。
特に、息切れ、胸の痛みや圧迫感などの症状を起こすことがある場合は、速やかな循環器専門医の受診が必要です。

便潜血陽性

便潜血陽性便潜血検査は、便の中に目に見えないほど微量の血液が混じっていないかを調べる検査です。
大腸がんのスクリーニング検査として行われていますが、痔などで陽性になるケースも少なくないため大腸内視鏡検査による確定診断が必要です。

健康診断や人間ドックでよく受ける質問について

検査数値はそれほど悪くないのにメタボリックシンドロームで治療が必要と言われました

メタボリックシンドロームは、内臓脂肪型肥満で、高血圧・糖尿病・脂質異常症(高脂血症)の複数を合併している状態です。血圧・脂質・血糖の数値は治療が必要としない程度の軽症でも、複数を合併していて内臓脂肪型肥満があると動脈硬化の進行スピードが速く、自覚症状がほとんどないままある日突然、心筋梗塞や脳梗塞、脳出血といった命に関わる深刻な発作を起こすリスクが高くなってしまうことがわかっています。
腹囲「男性85cm、女性90cm以上」で、血圧「130/85mmHg以上」・中性脂肪「150mg/dL以上またはHDLc40mg/dL未満」・血糖「110mg/dL以上」の2項目以上当てはまるとメタボリックシンドロームと診断されます。それぞれの数値が深刻ではないからまだ大丈夫と油断せず、危険な状態であるメタボリックシンドロームを早期に発見し、適切な治療を受けることが重要です。

自宅では正常範囲なのに、健康診断では「高血圧」を指摘されてしまいます

血圧は、少し早足で歩く・緊張などでも高めに出ることがあります。安静を保ちやすく、リラックスできる自宅では低めに、診察室では高めになる傾向もあります。ご自宅に血圧計がある場合、安静時に何度か血圧を測って記録しておき、その結果を持って健診を受診すると、より正確な診断結果につながります。

コレステロールが高いと指摘されたのですが、特に症状がなく治療が必要だと思えません

コレステロールが高い高脂血症をはじめ、脂質異常症は自覚症状がまったくないまま進行し、動脈硬化を悪化させます。脂質異常症の場合、心筋梗塞や脳梗塞、脳出血など深刻な発作がはじめての自覚症状になる可能性もあります。健康診断で脂質異常症を指摘されたら速やかに受診して適切な治療を受けることが重要です。特に女性はそれまで問題がなくても更年期以降に脂質の数値が急激に悪化しやすい傾向がありますので、健康診断結果に注意が必要です。

肝機能の数値が悪いのは、アルコールを控えたら改善できますか?

肝細胞が破壊されると細胞中に存在するAST(GOT)、 ALT(GPT)、 γ-GTPなどが血液中に増加するため、健康診断ではこうした数値で肝機能の状態を確かめています。ただし、肝機能障害を起こしている原因には、脂肪肝、ウイルス性・薬剤性の炎症などがあり、専門医を受診して精密検査を受けなければ診断できません。アルコールを控えるだけで改善できるケースは一部であり、多くの肝臓疾患はそれぞれ必要な治療が異なります。また、速やかな治療が不可欠な疾患の可能性もありますので、できるだけ早く専門医を受診してください

尿酸値が高い場合、ビールや魚卵、レバーを控えれば痛風にはなりませんか

尿酸値が高い状態が続くと腎臓に大きな負担をかけますので、痛風発作を起こさない場合も適切な治療を受けることが重要です。痛風発作は尿酸値が高い場合に発症しやすいことはわかっていますが、尿酸値の急激な変動も痛風発作を起こすきっかけになります。また、尿酸値が高くても痛風発作を起こさないこともあります。尿酸値が高い高尿酸血症の場合、尿酸値を上昇させるプリン体を多く含む魚卵、レバー、ビールだけでなく、アルコール飲料はすべて尿酸値を上昇させるため控える必要があります。また、治療で尿酸値が下がっても、結晶化した尿酸が完全に溶けるまで治療を続けることが重要です。定期的に受診して尿酸値をしっかりコントロールしましょう。

糖尿病には深刻な合併症があると聞いて心配でたまりません

高血糖が続くと動脈硬化進行による心筋梗塞や脳血管障害のリスクが上昇し、全身の毛細血管にも負担をかけて失明や足の壊死、腎不全による透析治療などにつながる合併症を起こす可能性があります。早期発見して適切な治療を続け、血糖値をしっかりコントロールすることが糖尿病や合併症の進行予防には不可欠です。糖尿病と診断されたら内科を継続的に受診するだけでなく、1年に1回は眼科を受診して網膜などの状態をしっかり調べることが重要です。

尿検査ではどんなことがわかりますか

健康診断の尿検査では、血尿、糖、蛋白などをチェックして、腎機能障害、腎炎、膀胱炎、尿路感染症、尿路結石、糖尿病、腫瘍といった疾患の可能性を調べています。ただし尿の状態は、前日や当日の食事をはじめとした生活の影響を大きく受けるため、尿検査で異常が指摘された場合には、正確な判断のために精密検査を受ける必要があります。

心電図で異常ありと指摘され、とても不安です

心電図は、不整脈、心筋梗塞や狭心症、心筋症や心肥大などの疑いがないかを調べる検査です。すぐに治療が必要な場合もありますが、経過観察のみで治療の必要のないケースもあり、その鑑別には精密検査が必要になります。状態により、24時間心電図、負荷心電図、心エコー(心臓超音波検査)、CT、カテーテル検査などから必要な検査を行います。

貧血なのに内視鏡検査を勧められて困惑しています

貧血は鉄分不足で起こることがよくありますが、慢性的な出血によって貧血になるケースも珍しくありません。特に、消化管からの出血は様々な疾患によって生じることがあり、穿孔を起こすと命に関わる可能性もありますので、早急な処置が必要な状態です。胃内視鏡検査では食道・胃・十二指腸を、大腸内視鏡検査では大腸全域の粘膜を直接観察でき、検査中に止血処置を行うこともできます。貧血で消化管からの出血が疑われる場合には、できるだけ早く内視鏡検査を受けてください。当院では苦痛を最小限に抑えた内視鏡検査を行っていますので、安心してご相談ください。

腫瘍マーカーはがんの早期発見に有効ですか

PSA(前立腺がんの腫瘍マーカー)は早期発見に役立つことがわかっていますが、他の腫瘍マーカーは基本的にがんになった方の治療効果や再発の有無を確かめるためのものであり、健康診断や人間ドックで早期発見を目的に単独で行うのは不適切なものも数多く存在します。腫瘍マーカーの数値はがん以外の病気で上昇することも多く、種類によっては原因を調べるためにお体への負担が大きい数々の検査が必要になり、その結果、特に異常が発見できないケースも珍しくありません。その場合には、どれほど検査を繰り返しても見逃している可能性をゼロにすることはできず、不安だけが残ることになってしまいます。当院では他の検査と組み合わせることで確定診断につながる腫瘍マーカー検査を人間ドックなどで行う場合がありますが、それ以外の腫瘍マーカー検査を積極的に行うことはありません。
当院では、内視鏡検査、超音波検査、CTなどの精密検査が可能であり、既往症や家族歴などについてうかがった上でリスクに合わせた検査を健康診断や人間ドックにオプションで組み込むこともできますので、お気軽にご相談ください。

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