インスリン注射は最後の手段?

インスリン注射による糖尿病治療

インスリン注射が必要になるケース

インスリン注射1型糖尿病は、インスリンが分泌されなくなることで高血糖になるタイプの糖尿病です。治療ではインスリンを外から補充する必要があり、インスリン注射が必須です。
2型糖尿病は、生活習慣の乱れを主な原因とし、インスリンの分泌や働きが低下することで高血糖になるタイプの糖尿病です。まずは食事療法と運動療法が行われ、必要に応じて飲み薬による治療が行われます。それでも十分な効果が得られない場合に、インスリン注射が用いられることがあります。

糖尿病そのものよりもおそろしい合併症

1型糖尿病の場合、2型糖尿病が進行した場合、急激に高血糖状態に陥り意識障害や昏睡などを伴う「ケトアシドーシス」に至ることがあります。
また、糖尿病の3大合併症である「糖尿病網膜症」「糖尿病腎症」「糖尿病神経障害」はいずれもQOLを大きく低下させますし、動脈硬化の進行によって発症リスクの高まる「心筋梗塞」や「脳梗塞」は命にかかわる合併症です。
糖尿病は、このようにさまざまな合併症のリスクを抱える病気です。糖尿病にならないことが第一ですが、もし糖尿病の診断を受けたときには、合併症を予防するためにも、速やかに適切な治療を受けなければなりません。

インスリンの「基礎分泌」と「追加分泌」を補うインスリン注射

膵臓から分泌されるインスリンンの働きには、血糖値を保つため常時少しずつ分泌されている「基礎分泌」と、食後に上昇する血糖値を下げるために分泌される「追加分泌」があります。この2つの働きに応じて、インスリン注射が行われます。

インスリン製剤・インスリン強化療法について

1型糖尿病の場合

もともとの分泌パターンに応じて、計1日4~5回の注射が必要です。これを「インスリン強化療法」と呼びます。

  • 1日3回、食事前に超即効型または即効型インスリンを注射
  • 1日1~2回、時効型または中間型インスリンを注射

2型糖尿病の場合

インスリンの分泌が残っていることもあるので、その程度やライフスタイルに応じて、超速効型・速効型・中間型・持効型・混合型のいずれのインスリンを何回注射するかを決めていきます。

インスリン注射の方法

インスリンは、基本的に患者様ご自身による自己注射によって投与します。皮膚のすぐ下にある皮下組織に、インスリン製剤を注射します(皮下注射)。

注射する部位

吸収がよいことから、お腹に注射するのが一般的です。その他、上腕の外側、臀部、太ももなどに注射することもあります。

自己注射の流れ

  1. 専用注射器に針をつけ、注入量を調整します。
  2. 注射する部位を消毒します。
  3. インスリン製剤が筋肉に入らないよう、皮膚をつまみます。
  4. 専用注射器をつまんだ皮膚にあて、注射器のボタンを押すと、注射されます。
※インスリン療法を開始する際、患者様お一人お一人に丁寧に説明いたしますので、ご安心ください。

インスリン療法の誤解

インスリン療法は「2型糖尿病の最終手段」ではありません


インスリン療法の導入の話になると、「そんなに悪いの」と驚かれることがあります。インスリン療法は、2型糖尿病治療の最終手段のようなイメージがあるのかもしれませんが、そんなことはありません。
内服薬での治療で十分な効果が得られない場合など、早めにインスリン療法を導入することで、合併症を予防したり、進行を抑制したりといった効果が期待できます。また、インスリンを外から補充することで、膵臓を休ませ、本来のインスリン分泌機能が回復することもあります。
その他、以下のような場合にも、インスリン療法が行われることがあります。

  • 1型糖尿病
  • 糖尿病を合併する妊婦さん
  • 重度の感染症、肝障害、腎障害がある

インスリン注射の「痛み」について

インスリン注射では、ペン型の専用注射器を使用します。専用注射器の針は細く短く、予防接種など他の注射と比べると痛みはずいぶんと抑えられます。痛みの感じ方には個人差がありますが、平均するとほとんど痛くないと言うことができます。

インスリン注射を生涯継続するケースと、やめられる可能性のあるケース

1型糖尿病の方、インスリンの分泌機能が完全に失われている方の場合は、基本的に生涯、インスリン療法を継続する必要があります。
一方で、2型糖尿病の治療でインスリン分泌機能が回復し、血糖コントロールが適切になされている場合には、インスリン療法を中止できることがあります。

インスリン療法の副作用について

インスリン療法の代表的な副作用は、低血糖です。インスリンだけでなく、糖尿病治療で使用される他の薬などでも起こり得る副作用です。薬の飲み合わせなどにも注意しなければなりません。
インスリン製剤や飲み薬など、低血糖を引き起こす可能性のある薬を使用する場合には、事前に低血糖に対する適切な対応を、医師に指導してもらうことが大切です。

  • 低血糖の症状
初期:空腹感、冷や汗、動悸、震え
中期:倦怠感、脱力感、疲労感、めまい、かすみ目
後期:昏睡、痙攣
  • ブドウ糖などを携帯していると安心です
低血糖の症状が出たとき、ブドウ糖10gを摂取することで、症状が落ち着きます。砂糖20g、糖分を含むジュース200~350mlでも代用できます。
  • 医師と相談し、インスリンの量、投与回数を調整しましょう
症状が出たとき、ブドウ糖などで適切に対処できたとしても、その都度医師にご相談ください。必要に応じて、インスリンの量、投与回数を調整します。

糖尿病治療について

検査結果インスリン療法(注射)について、ご理解いただけましたでしょうか。
「痛い」「大変な治療」というイメージを持たれがちですが、実際にはそのようなことはありません。もちろん、治療ですので、何の負担もなく快適にというわけにはいきませんが、QOLをほとんど落とさず、治療に取り組んでいただくことが可能です。そして、インスリン療法を適切に行えば、血糖コントロールの改善、さらにはインスリンの分泌機能の回復といったことも期待できるのです。
合併症の発症や進行を予防するため、インスリン療法を含めた治療としっかりと向き合いましょう。

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