認知症

こんな症状は認知症かもしれません

記憶障害(いわゆる「もの忘れ))や失語、失行、実行機能障害(計画・準備・実行などの「段取り力」が落ちること)などがみられるようになってきた場合、認知症を疑ってみても良いでしょう。

記憶障害 いくつかの種類に分類されますが、例えば「数分前に隣の猫が道端で寝ているのを見た」というように、いつどこでという内容を含む「出来事記憶」といいますが、こうしたことを記憶できなくなります。認知症が進行してくると、「意味記憶」とよばれる物の名前や意味、知識に相当することがらが分からなくなっていきます。
失語 言葉が理解できない、あるいはしゃべりたい言葉がしゃべれなくなることです。
失行 運動機能に障害が無いにもかかわらず、意味のある動作、たとえば「水の入ったコップを持っても飲むことができない」というような障害のことです。
実行機能障害 何かを計画を立て、準備をし、首尾よくこなしていくことができなくなる状態です。例えば普段から料理をしている人が、「献立を決めて手順通りに料理をする」ことができなくなるため、レパートリーが減り、いくつかの限られたメニューしか作れなくなってしまいます。

このほか、幻覚や妄想、夜間の行動異常などがみられることもあります。幻覚や妄想の例としては、自分がどこかに置いてしまったものを「捕られた!」と思いこんだり、妻が近所に住む男性と立ち話をしているのを見て「浮気した!」と騒ぎ立てたりすることもあります。

認知症とは

認知症とは、「生後いったん正常に発達した種々の精神機能が慢性的に減退・消失することで、日常生活・社会生活を営めない状態」であるとされています。つまり「後天的に起こる知能の障害」です。

認知症の種類

認知症になる原因はさまざまですが、アルツハイマー型、前頭側頭型、レビー小体型、脳血管性型などがあります。

アルツハイマー型認知症 最も多く、記憶障害から始まり、実行機能障害や失行などの症状が徐々に出てきます。
前頭側頭型認知症 性格の変化と社会性の欠如がみられることが特徴です。
レビー小体型認知症 幻視や筋肉のこわばりなどみられます。
脳血管性認知症 脳梗塞や脳出血などの脳の病気が原因で起こる認知症で、記憶障害や言語障害などが現れやすく、アルツハイマー型認知症と比べると早いうちから歩行障害も出やすいことが特徴です。

認知症の統計

超高齢化社会が進行する日本では、認知症である人の数は増加傾向にあります。厚生労働省の調査では、2012年時点で、高齢者で認知症の人は462万人と推計されています。また、2025年には730万人に達するという推計もあります。

認知症の検査と治療

認知症の検査

認知症であるかどうか、あるいはどの程度進行しているかなどを調べる検査はさまざまです。広く用いられている検査には、ミニメンタルステート検査(MMSE)や改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)などがあります。このほか、知能を調べるための検査、機能を調べるための検査、失語症について調べる検査や、CTやMRIなどの画像検査、血液検査なども行います。

認知症の治療

認知症は、症状の進行を抑えることはできても、完治することはありません。治療の目的は、認知機能の改善と生活の質の向上です。状態に合わせて、薬物療法と非薬物療法を組み合わせて行います。

薬物療法

現時点ではほぼアルツハイマー型認知症の治療のことを指しています。認知症の原因や進行度により、服用するお薬は変わってきます。

非薬物療法

心理、社会的なケアやアプローチが重要となります。認知症特化型のデイケアなどもこれにあたります。

なお、認知症という病気そのもの死因になるということはありません。認知症が進行することによって食事がとれなくなる、抑うつ状態になるなどの理由で衰弱していき、肺炎や敗血症などを起こし死に至ります。

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