肺炎

こんな症状は肺炎かもしれません

咳が出る、痰が出る、息切れ、胸の痛み、発熱、息苦しいといった症状がみられる場合、肺炎の可能性があります。また、このような症状以外にも倦怠感、発汗、頭痛、吐き気、筋肉の痛み、腹痛や下痢といった症状が見られる場合も、肺炎の可能性があります。
特に37~38度の発熱と頻呼吸(ひんこきゅう:呼吸がいつもよりも早くなること、目安として1分間に25回以上)、頻脈(ひんみゃく:脈拍がいつもより速くなること、目安として1分間に100回以上)呼吸困難、息を吸ったときの胸の痛み、などがある場合は、肺炎となっている可能性があります。これらの症状は風邪ともよく似ていますが、咳や痰、息苦しさ、高熱が7~10日以上持続するという場合には、肺炎が疑われます。

肺炎とは

肺炎とは、細菌やウイルスなどの病原微生物が感染することで肺に炎症をきたす病気です。肺炎は市中肺炎と院内肺炎に分類することができます。一般的に肺炎という言葉は、市中肺炎のことです。

市中肺炎

日常生活を送っているなかで生じる肺炎

院内肺炎

入院中に生じる肺炎

肺炎の原因

肺炎の原因はほとんどが細菌であり、このうち約28%が肺炎球菌であるといわれています。他にも、若年層に多い傾向のある肺炎の原因としてマイコプラズマが知られていますが、肺炎になってしまうきっかけはさまざまです。

ウイルス性肺炎 風邪やインフルエンザなどが重症化したことによって起こる
誤嚥性肺炎 食べ物が気管に入ったり(誤嚥)、胃から逆流してきた食べ物や細菌が肺に入ったりすることによることよって起こる
過敏性肺炎 有機物の粉塵や化学物質などの抗原を繰り返し吸い込んだことによるアレルギー反応で起こる
薬剤性肺炎 薬の点滴投与や、内服による投与が原因で薬剤本来の効能以外の予期せぬ有害反応が肺に生じる

高齢者の場合、症状が顕著に現れず、気が付いたら肺炎になっているということもあります。

肺炎の統計

肺炎で亡くなる人の割合は、死亡する人のうちの6.9%となり、死亡理由の第4位です。誤嚥性肺炎だけをみると2.8%で死亡理由の6位となり、この両方の結果を合算すると、肺炎という病気での死亡は日本において3番目に多いということになります(平成30年(2018)人口動態統計月報年計)。高齢者の死亡理由には肺炎が多く、高齢者が増えていくと、肺炎の死亡者数が増加していくと考えられています。また、インフルエンザなどの感染症が増えると、肺炎の感染者数も増加する傾向にあります。

肺炎の検査と治療

肺炎の検査

肺炎の検査では、診察時の症状や呼吸回数、呼吸状態、聴診による呼吸音のチェック、胸部エックス線画像、血液検査などを行います。また、ウイルス性肺炎の可能性が高い場合には、検査キットを用いた検査を行い、原因となる病原微生物を追求することもあります。ただし、肺炎を起こす病原微生物の中には、特定することが難しいものもあります。

肺炎の治療

肺炎の治療は、原因となる病原微生物が分かれば、抗菌剤を使った治療を行います。症状が比較的軽い場合は、抗菌剤の内服で治療ができます。しかし重症となった場合は、入院して点滴で治療をします。これに加え、「対処療法」という症状に対する治療を行います。熱が高い場合には解熱薬、咳が辛い場合には鎮咳薬、痰が出ている場合には去痰薬を使用します。また、熱や咳によって体力が消耗している、食事が充分に摂れていないという場合には点滴による補液を行うこともあります。さらに重症な場合には酸素投与が必要になったり、人工呼吸器を使用して呼吸管理を行ったりすることもあります。
また、マイコプラズマ肺炎など病原微生物の特定が難しい(日数がかかる)ような肺炎の場合でも、いくつかの検査を行った後に、抗菌剤による治療を行うことがあります。

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