こんな症状は花粉症かもしれません
くしゃみ、水様性の鼻水、鼻づまり、目の痒み、目の結膜の充血、涙が出るという症状が、毎年同じ時期にみられるという場合には、花粉症の可能性があります。
このほかにも、喉のかゆみ、咳がでる、鼻づまりによる頭痛、鼻や喉の炎症反応による微熱、だるさ、露出していた部分の皮膚の発赤や痒み、胃腸の痛みや下痢症状などが見られることもあります。
また、花粉症には即時反応と遅発反応があります。
即時反応 | 花粉の曝露を受けた時点でくしゃみ、鼻水、鼻づまりといった症状が出現します。 |
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遅発反応 | 花粉の暴露から7時間ほど経過した後、花粉が無い環境でも症状が見られることをいいます。 |
花粉症とは
花粉症とは、花粉が原因で生じるアレルギー性の病気です。
アレルギーの原因となる花粉が鼻や口などから体内に侵入すると、花粉を「異物である」と認識した免疫機能が、花粉に対する抗体を作り出します。次に同じ花粉が体内に侵入したとき、作り出された抗体と花粉が結合すると、アレルギーの症状の原因となる物質(ヒスタミンやロイコトリエン)が放出され、これらの物質がアレルギー反応を起こします。知覚神経を刺激すると「くしゃみ」が、鼻の粘膜にある腺を刺激すると鼻水が、血管を刺激すると鼻づまりが起こります。
さらに、この花粉と抗体の結合が繰り返されると、免疫機能が花粉に過敏に反応するようになり、さらに花粉症が進行していくというメカニズムがあります。
花粉症の原因となる植物
花粉症の原因となる植物には、スギ、ヒノキ、ブタクサ、イネ、ヨモギなどがあります。日本では約50種類ほどの花粉症が報告されています。その中でも、花粉症の原因として最も多いのが、スギです。これは日本の国土に占めるスギ林の面積が大きく、全国の森林の18%、国土の12%を占めているためです。地域によってはスギの量が少ないという理由から、スギ花粉症の患者数が少ないことがあります。その地域に多い植物の種類により、逆にヒノキなどほかの花粉症が多い地域もあります。
花粉症の統計
花粉症の患者数について、正確なところは分かっていません。しかし、全国の耳鼻咽喉科医とその家族を対象とした2008年(1月~4月)の鼻アレルギーの全国疫学調査では、人口のうちおよそ29.8%の人が、何らかの花粉にアレルギー反応を起こす、花粉症であるという結果が出ています。
花粉症の検査と治療
花粉症の検査
花粉症の検査では、下記のような検査が行われます。
鼻汁中好酸球数 | 鼻水を採取して鼻水に含まれる好酸球の量を調べます。 |
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皮内テスト | 皮膚に花粉のエキスを付着させて反応を見ます。 |
血液検査 | アレルギー反応を調べます。 |
花粉症の治療
花粉症の治療には、対症療法と根治療法があります。
対症療法
対症療法とは、花粉症の症状そのものに対する治療法でくしゃみや鼻水、鼻詰まりの症状が強ければその症状を改善する点鼻薬、目の症状が強ければ点眼薬を使用し、併せて抗アレルギー薬を内服します。症状によっては内服あるいは局所的に使えるステロイド薬を使用していきます。これらの薬を使用することでアレルギー細胞を抑えるとともに、症状の原因となる化学伝達物質やその作用を抑制することができます。対症療法として他に、レーザーで鼻の粘膜を焼くという方法もあります。対症療法では、花粉の飛び始めから治療を始める初期療法が有効であるとされています。
根治療法
根治療法とは、花粉に対する免疫を強くしていく治療方法です。こうした免疫療法は「減感作療法」とも呼ばれています。花粉の抽出液を注射もしくは舌下にて投与し、その濃度を徐々に上げていくことで花粉の抗原を防御する免疫を獲得する治療法で約80%の方が花粉の飛散時期に軽症や無症状であったという結果が出ています。
花粉症は、治療をしっかりと行っていけば、5~6割の方が症状に悩まされずに日常生活を送れるようになっています。