橋本病

こんな症状は橋本病かもしれません

橋本病の検査甲状腺が腫れている、首に圧迫感や違和感があるという場合は橋本病の可能性があります。
橋本病は甲状腺機能低下症の原因の一つであり、甲状腺機能が低下した状態になると、全身の代謝が低下してきます。すると、無気力、全身がむくむ、体重増加、便秘、かすれ声などが生じます。また、疲れやすくなったり、寒がりになったりすることもあります。女性では月経過多になることもあります。
また、自覚症状がないという場合でも血液検査の結果、甲状腺ホルモンの値に異常が出ると橋本病の可能性があります。

橋本病とは

橋本病とは慢性甲状腺炎とも呼ばれており、甲状腺に慢性的に炎症が起こる病気です。炎症が起こった結果として、甲状腺ホルモンのバランスが悪くなります。1912年に橋本策博士が見つけたため橋本病と名付けられました。

橋本病における甲状腺ホルモンのバランスは、3つに分類されます。

  1. 甲状腺ホルモンの低下
  2. 甲状腺ホルモンの上昇
  3. 甲状腺ホルモンが正常である状態

しかし、橋本病だからといって、全員の甲状腺ホルモンの分泌量は少なくなるわけではありません。橋本病の患者さんのうち、甲状腺ホルモンが低下して「甲状腺機能低下症」にまでなるのは、4~5人に1人未満といわれており、大部分の患者さんの甲状腺ホルモンは、正常の状態を維持しています。

橋本病は自己免疫疾患の一つです。細菌など体内に入ってきた病原体を攻撃するのが本来の抗体の役割なのですが、なぜか自分自身に対する抗体(自己抗体)が作られ、自分の身体の臓器や細胞を攻撃してしまう病気のことを、自己免疫疾患と言います。しかし、なぜ自己免疫を破壊する状態になってしまうのかは不明と言われています。

橋本病の統計

甲状腺炎の推計患者数は、平成29年時点で58,000人であり、成人女性の10人に1人、成人男性の40人に1人程度の割合です。

バセドウ病

橋本病と同じ甲状腺ホルモンの異常による病気に、バセドウ病があります。バセドウ病は、甲状腺の機能が亢進し甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることによって代謝が上がり、動悸や体重減少などさまざまな症状をきたす病気です。橋本病の場合にも甲状腺ホルモンの値が上がることはありますが、これはあくまで一時的なものです。甲状腺ホルモンの値が継続して高いか、一時的に高いかが橋本病とバセドウ病の違いになります。
橋本病の場合、一時的に甲状腺ホルモン量が過剰になることがありますが、通常は3ヶ月ほどで治まります。

橋本病の検査と治療

橋本病の検査

橋本病の検査橋本病の検査は、甲状腺ホルモンのバランスを調べる検査を中心に行います。具体的には、血液検査で甲状腺ホルモンであるFT3、FT4および甲状腺刺激ホルモンであるTSHの量を調べます。また、超音波検査で甲状腺の内部の様子を調べて診断します。
橋本病の中には甲状腺のホルモン値が正常に近いということもあります。その場合には原則として経過観察とし、治療は行われません。

橋本病の治療

橋本病の治療が行われるのは、甲状腺の機能が低下しているような場合です。橋本病の方は強いストレスや妊娠・出産、ヨード過剰摂取(海藻類、薬剤、造影剤など)等をきっかけに甲状腺の機能が低下して甲状腺機能低下症を発症することがあります。そのため、橋本病の中でも甲状腺機能低下症の方には治療を行います。甲状腺機能低下症がある場合は、合成T4製剤というお薬で治療し、経過を見ていきます。また、ヨードを過剰摂取している場合には、ヨードを制限します。
橋本病による甲状腺機能低下症は流早産や妊娠高血圧症候群のリスクが高くなります。そのため妊娠を希望する方や妊娠初期の方においては積極的な治療が推奨されます。

TOPへ