排尿障害

こんな症状は排尿障害かもしれません

昼間に8回以上排尿する(昼間の頻尿)、夜中に1回以上尿意で目が覚める(夜間頻尿)、急に強い尿意を感じる(尿意切迫感)、尿失禁、尿の勢いが低下する(尿勢低下)、排尿中に尿が2本に分かれたり・分散して細かく出たりするようになる(尿線分割や尿線散乱)、排尿中に尿が1回途切れる(尿線途絶)、排尿の開始や尿線の維持または改善のために腹圧が必要となる(腹圧排尿)、尿がぽたぽたと垂れてなかなか排尿が終わらない(終末滴下)という症状が見られる場合には、排尿障害の可能性があります。

排尿障害とは

排尿障害とは、排尿サイクルの過程に異常をきたす状態のことを言います。排尿サイクルには、膀胱に尿を貯める畜尿と、貯まった尿を体外へ排泄する排出があります。蓄尿の機能が障害された状態を畜尿障害、排泄の機能が障害された状態を排出障害と言います。畜尿障害が原因で、尿失禁や頻尿が生じます。尿失禁は、その原因によりいくつかのタイプに分かれますが、代表的なものとしては、腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、機能性尿失禁、溢流性尿失禁などがあります。

排尿障害の原因

畜尿障害の原因は、過活動膀胱、肥満などの生活習慣病、神経因性膀胱、間質性膀胱炎、軽度の骨盤臓器脱、膀胱炎、膀胱結石などがあります。
一方の排出障害の原因は、前立腺肥大症、神経因性膀胱、重度の骨盤臓器脱などがあります。また、卵巣がんや子宮がんなどの骨盤内臓器の手術を受けた後も、排泄障害を起こすことがあります。さらに、現在内服中のお薬が原因となって、排尿障害を起こしていることもあります。

排尿障害の原因となる過活動膀胱と骨盤臓器脱は、出産や加齢によって起こります。前立腺肥大症も、加齢が原因で男性に起こる病気です。また、脳や脊椎系の病気、糖尿病が原因で神経因性膀胱となっていることもあります。膀胱炎は、水分の摂取不足や排尿を長時間我慢することが原因となります。

排尿障害の統計

排尿障害の症状の幅が広いこともあり患者数はわかっていません。しかし、厚生労働省の平成28年国民生活基礎調査の概況によると、「尿が出にくい・排尿時痛い」という症状を訴えている有訴者率は、女性4.9、男性12.4、「頻尿」症状を訴えている方は、女性25.5、男性33.4、「尿失禁」症状を訴えている方は、女性16.1、男性8.3(いずれも人口1,000人に対する人数)となります。

排尿障害の検査と治療

排尿障害の検査

排尿障害の検査は、排尿障害を起こしている原因を調べることが目的となります。尿検査で膀胱炎や悪性腫瘍にかかっていないかを調べたり、血液検査で腎臓の病気を確認したり、超音波検査で腎臓と膀胱の状態を確認していきます。
ここで原因が分からないという場合にはさらに専門的な検査として、検査用のトイレに排尿し、その時の排尿量や勢いを調べる「尿流測定検査」や、膀胱内に残っている尿量を調べる「残尿測定」、排尿サイクル全体での膀胱・尿道の機能を調べる「内圧流量検査」、造影剤を使って骨盤臓器脱の程度や尿道の状態を調べる「鎖膀胱尿道造影」があります。

排尿障害の治療

排尿障害の治療は、保存的療法と薬物療法、手術療法に分けられます。

保存的療法 肥満、糖尿病、飲水過多、過剰な食事摂取、喫煙、便秘といった排尿障害を誘発する生活習慣を改善するための指導を行います。これに加えて理学療法として骨盤底筋群を鍛えて尿失禁を防ぐ骨盤底筋運動、計画療法として排尿を我慢し頻尿を改善させる膀胱訓練が行われます。
薬物療法 膀胱に貯まった尿を出しやすくする薬剤、膀胱の蓄尿機能を改善する薬剤、その他尿失禁や主に自覚症状を改善する薬剤などを使用して行います。症状にあわせてさまざまな薬剤や漢方を組み合わせて治療を行っていきます。
手術療法 薬物療法でも効果が認められない場合に行われ、前立腺肥大症、腹圧性尿失禁、骨盤臓器脱、過活動膀胱の方が対象になります。

また、排尿障害を改善させるためにその原因となる病気の治療や内服薬の見直しも必要となります。

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