■百日咳とは?
百日咳は、「ボルデテラ・パータシス」という菌が原因で起こる、感染力の強い呼吸器の病気です。特徴的な症状は、激しい咳が長く続くことです。特に小さなお子さんでは、咳の発作がひどく、顔が赤くなる・咳き込んで吐く・息が止まりそうになるなどの症状が出ることがあります。
■百日咳の経過と症状
百日咳は、次の3つの時期を経て症状が変化します
・カタル期:軽い咳や鼻水など、風邪のような症状(発症から1週間くらい)
・痙咳期:突然始まる激しい咳、吐き気、咳の後にヒューッという吸気音(発症から1〜3週間)
・回復期:咳が徐々に軽くなる(1か月以上かかることも)
■リボテストとは?
当院で行う「リボテスト」は、鼻の奥をぬぐって百日咳菌の抗原(菌の一部)を調べる検査です。10分ほどで結果が出るため、早く診断の参考になります。
■リボテストには限界があります
リボテストは便利ですが、百日咳の経過が進んだ場合(特に発症から2〜3週間以上たっている場合)には、陰性になることがあります。
・百日咳菌は、病気の初期にはたくさん存在していますが、咳がひどくなる頃には菌の数が少なくなります。
・そのため、「リボテストが陰性」でも、百日咳ではないとは言い切れないのです。
■陰性でも百日咳の可能性がある場合
次のような症状や状況があるときは、リボテストが陰性でも百日咳の可能性があります
・2週間以上続く咳
・咳き込みの後に吐いてしまう
・家族や園・学校などに百日咳の方がいる
・他の風邪のような症状がない
このような場合、医師が総合的に判断して、百日咳として治療や感染予防の対応を行うことがあります。
■感染予防とご協力のお願い
百日咳は、乳児や高齢者にうつると重症になることがあります。咳が続く場合には、登園・登校・出勤を控え、マスク着用を徹底してください。
■スポットファイアによるPCR検査も可能です
松前内科医院では、「スポットファイア」という最新のPCR検査機器を導入しています。これにより、百日咳菌のPCR検査が可能で、検査自体は約15分で判明します。
さらに、このスポットファイアは、百日咳と非常によく似た呼吸器症状を引き起こすさまざまな病原菌やウイルスに対しても、1回の検査で15項目を同時にPCR検出できる、呼吸器感染症の診断における“切り札”とも言える高精度な検査です。
検査項目には、百日咳菌のほか、マイコプラズマ、RSウイルス、新型コロナウイルス、インフルエンザウイルスA/B、アデノウイルス、ヒトメタニューモウイルス、通常の風邪の原因となるコロナウイルスやライノウイルス/エンテロウイルス、パラインフルエンザウイルス、パラ百日咳菌、肺炎クラミジアなどが含まれます。
これにより、症状の原因となっている病原体を特定しやすくなり、適切な治療や感染対策を迅速に行うことができます。
なお、軽い風邪と考えられる場合には必ずしもこの検査を行う必要はありませんが、高リスクの方や重症化が懸念されるケースなど、医師が必要と判断した場合には、迅速に検査を実施します。ご希望の方は、ご相談ください。
保険診療の場合、1割負担の方で、1,530円、2割負担の方で、3,050円、3割負担の方で、4,580円かかります。(診察料などは別途必要になります。)