院長ブログ

新しい糖尿病の診断名「5型糖尿病」についてのお知らせ

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新しい糖尿病の診断名「5型糖尿病」についてのお知らせ

2025年、国際糖尿病連合(IDF)は新たに「5型糖尿病(Type 5 Diabetes)」という名称を発表しました。これは、これまでの1型・2型とは異なり、慢性的な栄養不足を原因として発症する糖尿病を指しています。
この病気は、主に栄養状態が良くない地域(発展途上国など)で多く見られるもので、若年者でも起こり得ます。従来から「栄養不良関連糖尿病(MNRD)」として知られていた病態に、わかりやすい名前を付けることで、国際的な関心を高めようという目的があります。

日本ではどうなの?

現在、日本ではこの「5型糖尿病」という診断名は、
・日本糖尿病学会(JDS)
・アメリカ糖尿病学会(ADA)
のいずれにも正式な病型分類としては採用されていません
そのため、日本の医療機関ではこの名前で診断されることはありません。
ただし、近年の日本でも高齢者や摂食障害の方において、栄養不足と糖代謝異常が関係するような状態が見られることがあります。そのため、医療現場ではこの「5型糖尿病的な病態」に対しても注意を向けていく必要があると考えられています。

まとめ

・「5型糖尿病」は、栄養不良が原因となる糖尿病に対して、IDFが提案した新しい呼び名です。
・現時点では、正式な診断名ではありません
・栄養状態の大切さや、糖尿病の予防・管理には、今まで以上に多くの視点が求められる時代になってきました。

糖尿病に関する主な国際団体と日本の立場

今回の「5型糖尿病」の名称は、IDF(国際糖尿病連合)という国際的な糖尿病啓発団体が発表したものです。これに対し、ADA(アメリカ糖尿病学会)は、世界的に最も権威のある臨床ガイドラインや研究論文を出している学会で、診療における「基準」の役割を果たしています。
IDFは、糖尿病に対する国際的な啓発活動を主に行い、WHO(世界保健機関)と連携しながら、低所得国や発展途上国への支援や政策提言を重視しています。一方、ADAは主に医師や研究者向けに、糖尿病の診断・治療・研究に関する詳しい基準を提供しており、実際の医療現場ではADAのガイドラインが多く活用されています。
日本では、日本糖尿病学会(JDS)がこれらの国際的な動きに注目しつつ、日本の医療事情にあった形で方針を定めています。現時点では、日本糖尿病学会もアメリカ糖尿病学会と同様、「5型糖尿病」という診断名は正式には採用していません。
今後、国際的な研究や議論が進めば、日本においても新しい病型として認められる可能性がありますが、現在は「啓発的な呼び名」として受け止めておくことが大切です。

当院では、引き続き患者さん一人ひとりの状態を丁寧に見ながら、適切な診断と治療を提供してまいります。
何かご心配なことがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

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